小説の写経

あの頃の私は何もできないと思っていた。
小説を読んでも頭に入ってこない。
好きな数学をしても二三分もすれば机を離れた。

そんな時私は短い小説をノートに写してみた。
それが、志賀直哉の「菜の花と小娘」だった。

一回写したら、おぼろげながら意味が分かった。
二回目は大体の内容を掴めた。
三回目にして明瞭に内容が分かった。

それ以降、短編小説を理解できるようになった。
短編から中編へと移り行く頃にはある程度の数学を理解できるようになっていた。

けれど、長編小説であるトルストイの「アンナ・カレーニナ」は全てを読めず、本棚に眠っている。
もうじき読めるかも知れない。
その頃には高度な数学も理解できるだろう。

これは精神疾患を患ってから、良くなる様を表しているが、同時に数学と文学との関連性も表そうと思ったが、私の文章力では出来なかった。
けれど、このような事は言えるかも知れない。
それは、元々、文学も数学もしていれば、精神疾患を患っても同時に出来るようになるという事だ。

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